ロービジョンマニュアルサブノートのページです。

まず第12章の一部をUPしました。

2011.3.15. ロービジョンマニュアル、サブノート

第12章「眼鏡式拡大鏡」

1・「眼鏡式拡大鏡」とは? 一般に加入される度数よりも、強い度数で作製する眼鏡のことを言います。 「至近距離眼鏡」と呼ぶ場合もあります。 日本では近見視力検査は、30cmで行います。その為調節力がまたくない ケースでも、加入度数は最大+3.3Dとなります。 この加入度を+5.0Dとか+10.0D等強度で作製し、明視の距離を20cmや10cmに することで、網膜像の拡大することができます。このような度数で処方された眼鏡のことを「眼鏡式拡大鏡」と呼んでいます。

2・「眼鏡式拡大鏡の倍率の考え方」 詳細は「第9章・拡大」をご覧ください。   まず「1倍」が何か?を考えてください。 日本においては30cmの距離で近見視力検査を行いますので、 この距離における見え方(網膜像)が1倍になります。 なお、これをレンズで考えた場合、30cmに焦点が合うレンズですので 3.3D 」になります。すなわち、日本においては「30cm&3.3Dが1倍」という定義になります。

次に倍率ですが、網膜像は距離に反比例します。明視距離が1/2になると網膜像は2倍になります。 30cmが1倍なので、2倍の拡大が必要な場合は15cmで見れば良いことになります。 また、3.3Dが「1倍」ですので、2倍は6.6D 。+6.6D加入の眼鏡を使用して    15cmで見れば、2倍の倍率を得ることになります。

☆ 各項目ごとの説明

12.1「眼鏡式拡大鏡の長所と短所」 6行目の部品を組み合わせたものとは、P236以降で説明するコイル社やキーラー社が作製している弱視眼鏡形式の製品を言っています。 近用望遠鏡と区別をしていますが、ここで眼鏡式拡大鏡と呼んでいるものは、あくまでレンズが1枚で作成されているものであり、望遠鏡のように2枚以上のレンズを組み合わせたエイドとは異なる扱いをするということです。

12.2「実際の光学」 1行目の表記ですが、眼鏡レンズは、度数を頂点屈折力であらわすために「物側頂点屈折力を強くし…」という表現になっています。 3行目の調節遠点は「調節近点」の誤りです(誤植がありました。訂正いたします)。 次に「近視眼や調節を働かせている場合と区別できない」ですが、未補正の近視眼や調節を使用しても30cmよりも近い距離で見ることができる場合のことを言います。また、距離が近くなれば拡大されることを「相対的(距離)拡大法」と呼んでいます。

12-3「作業距離の短縮」 眼鏡式拡大鏡は、加入を強くし短い作業距離で見ることで倍率を得る方法です。 しかし、一般には短い作業距離で見ることに慣れていない人も多いので、見る距離を指導することが大切です。また、読むときの両手の広げ方によっても距離が変わるので、アドバイスをすると良いでしょう。新聞のようにサイズの大きいものは見る距離が長くなるし、タブロイド  版のように小さいものは自然と距離が近くなります。 表12.2の説明は、加入屈折力を“対数間隔”で取ると、どの列でも3段階変わるごとに0.5倍または2倍になるので、これは相対的と考えて間違いないことを言っています。

12-4「遮蔽が必要な場合」 1・抑制: 利き目の視力が低下した場合に、両眼視した状態で利目でない目を使うことが難しいケ-スがあります。こういったケースでは、利き目であった目を遮蔽すると有効なことがあります。有効かどうかの判断材料としては、問診時に「TVを見る時や読書をするときに片目をつぶることはないですか?」と尋ねることです。 片目をつぶることがあるようならば、遮蔽が有効になる確率が高くなります。    2・加入屈折度が+16.0Dを超えて作業距離が6cmよりも近くなる時は、 プリズムを使わないと、両眼視が出来なくなります。 もしくは、モノビジョンで見させるために、見づらい目のレンズを素どうしにしたり、すりガラス状にしたり、黒のシール状のテープを使用するのも1つの方法です。

12-5「両眼用眼鏡式拡大鏡」 30cmよりも近い距離を両眼視する場合は、輻輳補助のために基底内方のプリズムが必要になります。ではどれくらいのプリズムをつければいのか? 先行研究者は、加入屈折度の1.5倍または2倍(Baileyの方法ではPD65mm以上の場合その値+1mm)を計算し、近用PDからその値を引いたPDで作製することで、レンズ偏心によるプリズムをつけることを行っています。(訳者注:強度で偏心によりプリズムをつける方法は、実際の視軸上で収差が発生するためお勧めできません。レンズの厚みをプラスすることでプリズムを つけることが望ましいと考えますが、5プリズムを超えるプリズムの製作は出来ないので、オーダーメイドで作る両眼用眼鏡式拡大鏡は+5.0D加入以上の強度では現実的ではないと思われます。ただし、図12.2にあるように、既製の製品では高いプリズムをつけた製品もはいますので、両眼式が望ましい場合は、既製の製品を試すことをお勧めいたします)。 また、Fondaは、ディオプター値と同じプリズム量をつけることを提案しています。

実例>の説明 二重焦点眼鏡で加入+6D、小玉部分のうち寄せを4.5mmで作製するケースですが、日本では、東海光学でガラスのレンズに限り、こういったクラフト加工 のレンズが可能です。


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Last-modified: 2011-03-24 (木) 10:25:01 (4791d)